フジワラ記

わたしの日記です

お洒落なMVみたいに小躍りしながら東京の街闊歩したい気持ち、あるよね

「聞いてくださいよ。自粛期間、これといってやることがなかったから、綿棒で耳掃除ばかりしていたら外耳炎になってしまいましてね。ある日突然ね、耳が強烈にかゆくなったんですよ。もう我慢できないくらいに。本当にびっくりしましたよ。今まで耳鼻科にかかったことなんてほとんどなかったものだから。はは。それでね、近くの耳鼻科に行ったんですがそこの医者がやけに明るくてね。その医者が私に向かってこう言うんですよ、『あなた、外人って言われたことある?』って。いやあ、この医者は初対面の私になんてことを聞くんだ、と思いましたね。耳を疑いましたよ。ああ、耳鼻科だけに。ふふ。でねえ、私は『外人ですか?言われたことありません。』って答えたんですよ。そしたらその明るい医者はキョトンとして『いやいや、ガイジンじゃなくてガイジエンね』って言うんですよ。もう赤っ恥ですよ。顔から火がでるとは、あのことを言うんですね。隣に立ってた看護師も鼻で笑ってましたね。ああ、耳鼻科だけにね。あ、つまんない?」

 

おっと、すみません。私の中のおもしろ紳士が1人語りしてしまいました。

たまに出てくるんですよね。ちなみに綿棒で耳掃除をしすぎて外耳炎になったのは本当ですし、医者に対して阿呆な聞き返しをしてしまったことも事実です。

私に中のおもしろ紳士はこうやって、私の小さな失敗を面白おかしく話すことで、私が傷つかないようにしてくれているんですよね。優しいですね。愛しいですね。

 

最近の近況報告をしようと思ったのですが、せっかくなので私の同居人であるこの「おもしろ紳士」について話そうと思います。

 

私にこの奇妙な同居人が住むようになったのは、つい最近のことです。

私は寝る前に過去の失敗や恥を思い出しては、布団の中で「ギャッ!!!」と悲鳴をあげてジタバタすることが多々ありました。私にとってその時間は苦痛でしかありませんでした。そしてある夜、いつものように布団に入り目をつむりました。そして例のごとく、過去の失敗と恥の回想が始まりました。しかし、様子がおかしいのです。

 

その回想の語り部が私の声ではなく、老人の声なのです。

 

低くしゃがれた声が私の失敗を語っていきます。度々、つまらないジョークを交えながら。「どこから来たんだこの老人は?」と考えているうちに、緊張していた私の身体は緩み、いつの間にか私は眠りについていました。これが、私と紳士の出会いです。私は、私の失敗談を無理やり面白おかしく話すこの紳士を、「おもしろ紳士」と呼ぶことにしました。

 

それからというもの、おもしろ紳士は事あるごとに私の失敗を語ってくれました。腹の底から笑えるものではありませんが、ガチガチの心が緩まるくらいの程よいジョークを交えながら失敗を語ってくれました。私はいつの間にか、小さなことでクヨクヨすることは無くなっていました。

 

しかし、失敗をしても紳士が語ってくれないことがあります。

優しい紳士が口を紡ぐ程の失敗。

その失敗こそが本当に反省しなければならない失敗であると私は理解しています。

 

私はこの同居人といつまで一緒にいるか分かりません。

突然現れたので、突然いなくなるかもしれません。

 

でも、もし彼が私が最期を迎えるまで住まっていたら何を語るのだろうか、と考えることがあります。自分の最期なんてできるだけ考えたくないのですが、私の恩人が最期に何を語るのか。そのことは強烈に気になるのです。

 

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歯切れが悪くなってしまいました

最近聞いてる曲を紹介して終わります

聴け。

 

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